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NDA 狭小住宅ブログ

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現地調査

NDA01 2014/06/19 現地調査

世田谷区役所に程近い住宅が密集した地域にある敷地面積52.79㎡[15.96坪]の狭小地が計画地となります。
敷地条件は、建蔽率60%・容積率160%・第2種住居地域・第3種高度地区となるため、平面上は制約がありますが地上3階建てとしても高さ方向には余裕をもって計画できそうです。
ただし、西側と東側の二つの道路に挟まれた敷地なので、両側の道路から道路斜線による高さ制限が厳しくなります。
そこで、天空率を計算して全体のボリュームを検討し、通常の道路斜線に適合した建物よりも各部の高さを確保し、設計の選択肢を増やしていきます。
建て主はフォトグラファーとイラストレーターのご夫婦なので、居住スペースの他にアトリエがある狭小住宅となります。
また、駐車スペースが1台分必要となり、狭小住宅ではその配置が全体計画に大きな影響を及ぼすので、構造との整合性を取りながら検討を進めていきます。


基本設計

NDA02 2014/09/18 基本設計

建築面積8.5坪の中に、1階にアトリエ、2階にLDK(15帖)、3階に個室2部屋と水回り、さらに最上部に塔屋とルーフバルコニーという間取りになりました。
各部屋の床面積は最大限確保することが条件でしたので、無駄な動線は極力減らし、間取りも矩形を基本としたシンプルな形状としています。
合わせて、空間として単調にならないよう1階床面を掘り下げたり、リビングに段差を設けたりと高さ方向に抑揚を持たせた計画としています。
狭小住宅の限られた面積の中で、感覚としての広さを得るためには有効な手法です。
ここからは実施設計の段階となり、工事に必要な図面の作成や建物としての完成度を高めるためにディテールの検討を行います。


地鎮祭

NDA03 2014/11/01 地鎮祭

ヒアリングから4ヶ月程と、設計期間が比較的短めではありましたが、建て主さんや工務店さんのご協力もあり、当初の予定通りの日程で地鎮祭を行いました。
設計図面を取りまとめ一段落ではありますが、着工へ向け一段と身を引き締めていきます。


着工

NDA04 2014/11/14 着工

以前も一緒に仕事をさせていただいた現場監督さんと共に、建物の配置と地盤面の高さを確認した後、基礎の根伐りを施工中です。
建物の一階奥はアトリエとなるので、開放性と作業性を重視して1階床を地面より下に50cm掘り下げところに設定し、天井の高さを320cm確保しています。
狭小住宅は床面積が限られてくるので、高さ方向にゆとりを持たせ、広さの感じ方が変わるように工夫しています。


配筋検査

NDA05 2014/11/27 配筋検査

基礎の配筋が完了しました。計算を行った構造図と照らし合わせながら各部分のチェックをしていきます。
今回は基礎の内側が、室内に打ち放しとしてそのまま現れてくるので、通常よりも精度が要求されます。
そのため、基礎のコンクリートを打ち終わってから、外側から直接防水材を塗布する等の工夫をしています。
基礎周囲の土を余分に掘らなければいけないので手間は掛かりますが、基礎業者さんに協力いただき、整然と出来上がりました。


基礎コンクリート打設

NDA06 2014/12/05 基礎コンクリート打設

基礎のコンクリート打設が完了し、型枠が外されました。
狭小住宅ではありますが各部屋が細切れのプランではないので、非常にシンプルな基礎です。
単純な形はコンクリートの質感が際立ちます。主構造は木造なので大部分が隠れてしまうのが惜しい。


基礎塗布防水

NDA07 2014/12/09 基礎塗布防水

深基礎の立ち上り部分に塗布防水を行いました。
基礎のコンクリートは、耐圧盤と呼ばれる底板の部分と立ち上りの部分を2回に分けて打設します。
その打ち継ぎとなる部分が地中にあると、水分が内部に浸透していく懸念があるため、外側に防水材を施工したり止水板を設置したりと二重三重の対策を施します。
一般の住宅の打ち継ぎ部分は地上にあるため通常この工程は必要無いのですが、今回はアトリエの開放感を演出するために床面を地面より下げているため、入念に防水工事を行います。


土台敷き

NDA08 2014/12/14 土台敷き

基礎上端への土台敷きが完了しました。その後、足場の設置も行い、いよいよ上棟となります。
今回は2階の一部に段差を設けた計画となるので、その段差処理のため大きな梁が架かります。
これまでの狭小住宅の3階建てとは、また違った見え方がすると思うので楽しみです。


上棟

NDA09 2014/12/15 上棟

上棟の途中経過。棟屋部分を残し、あと一歩で上棟です。
天候にも恵まれ順調に進んでいます。


顔合わせ

NDA10 2014/12/18 顔合わせ

建て主さんと大工さんの顔合わせを行いました。昼休憩時に雑談をし、施工精度について熱い話を聞かせていただきました。
謙遜しつつも、この段階でも丁寧な仕事ぶりが垣間見える、昔気質の大工さんです。
写真はルーフバルコニーより三軒茶屋方面を望む。周囲よりも頭一つ高くなるので遠くまで視線が抜けていきます。それにしても風が冷たい。


構造金物検査

NDA11 2014/12/22 構造金物検査

軸組みに取り付けられる構造金物の検査を行いました。
木造の3階建てとなると地震時に建物にかかる引き抜き力が大きくなるため、それに抵抗する各所のホールダウン金物が高耐力のものになります。
建物の耐震性にもかかわる事なので、漏れや施工不良が無いように金物をひとつひとつ確認していきます。狭小住宅とは言え数が数なので、それなりの時間が掛かります。


ルーフバルコニー下地

NDA12 2015/01/07 ルーフバルコニー下地

防水工事の前段階としてルーフバルコニーの床下地を施工中。
写真の奥側に排水溝を設け、そこに向かって微妙に勾配をつけるために下に敷く木材を徐々に薄くして取り付けています。
この下地に合板を重ねて床面をつくり、その上からFRPの防水材を施工していきます。


フローリング張り

NDA13 2015/01/13 フローリング張り

床フローリングを施工中です。
今回は無垢のオーク材で節や継ぎがあるグレードを指定しました。
その他仕上げ材がシンプルなので、床面は癖が強いものでも良く合いそうです。


中間検査

NDA14 2015/01/15 中間検査

屋根工事が完了したので、指定検査機関による中間検査を受けました。構造上重要な部分に施工不備が無いように、施工途中の段階で検査を行います。
阪神淡路大震災で不備が原因と思われる被害が多く見られたため、法令で中間検査制度が設けられました。
事前に設計者が確認している所ですが、公の検査も行うのはそれだけ重要な部分ということの裏返しと言えます。


現場確認

NDA15 2015/01/15 現場確認

大工工事も半ばとなりましたので、建て主さんと一緒に現場を見てきました。スイッチ・コンセントの位置、全体の施工状況を確認していただきました。
現場では立体的に感じる事ができ、感覚を共有しながら打合せできるので話がスムーズに進みます。
話は変わって、大工さんが巾木と言われる床と壁との間に取り付ける部材を施工しています。
今回はL型のアルミ材を床にビス留めし、上から石膏ボードを差し込んでいきます。
通常は柱に石膏ボードを打ち付けて、後から板状の巾木を取り付ける流れになるので、今回は少し手間をかけてもらっています。
アルミの切断も小さい部材なので難しいと思うのですが、コーナー部も精度良く加工してもらいました。
出来るだけ巾木の存在感を消すための選択ですが、そういったデザイン上の理由でも意図をくみ取り、快く施工してくれるのは本当にありがたいです。


階段

NDA16 2015/01/29 階段

石膏ボードも大部分が張り終わったので、階段の造作に取り掛かっています。
この建物は準耐火構造となるので、主要構造部である階段もそれに準じた仕様にする必要があります。
狭小住宅では視線の抜けも考慮して鉄製階段にすることも多いのですが、今回はコストの制約が厳しかったので木製階段としています。
限られた床面積の狭小住宅なので、木製でも可能な限り広がりを演出するため、踏板のみが壁に挟まれたデザインを選択しました。
耐荷重だけであれば踏み板の厚みは30mmでも成立するのですが、準耐火構造を満たすには60mm以上が求められます。
廻り階段のリズムを厚い踏板が強調し、それと同時に開放感を持たせることを狙っています。


屋根板金

NDA17 2015/02/07 屋根板金

屋根にガルバリウム鋼板が張られました。写真は浴室に面する開口の写真ですが、湯船に浸かりながら窓越しに空を見上げられる計画としています。
板金の納まりにも少し気を配っていまして、ガルバリウム鋼板の働き幅に合わせて、3枚分の660mmの開口となるよう木下地の段階から寸法を計算して施工しています。
重ねた部分のラインが横へ一直線で走っていくので見た目にもすっきりします。
気にして見なければ分かりづらいところではありますが、この様な小さいことを積み重ねていくことで全体としての佇まいも美しく見えてきます。


窯業系サイディング

NDA18 2015/02/17 窯業系サイディング

外壁工事が施工中です。建物の外形が箱型なので、窯業系サイディングのフラットタイプを選んでいます。
写真は建物の出隅部分を撮ったものですが、シンプルな材料だからこそ輪郭をきれいに見せたいので、コーナーは留め加工としています。
通常はL型の出隅役物を入れるのですが、コーキングの縦目地が余計に入ってしまうのであまり美しくない。
ちょっとした工夫で材料の端材も最小限となり、そして端正に見せることも可能となります。面倒な納まりを引き受けてくれる職人さんのひと手間に感謝です。
ちなみに窯業系サイディングは、コストが安価なので戸建住宅で最も普及しています。使い方次第で見え方がだいぶ変わるので、安普請とならないよう気を配りながらデザインしています。


モルタル階段

NDA19 2015/02/27 モルタル階段

1階アトリエに続く階段が施工完了しました。基礎立上りがコンクリート打放しなので、それに合わせてコンクリートブロック下地にモルタル仕上げとしています。
元々は基礎の打設時に一緒につくる予定でしたが、現場監督さんとの打合せで精度の問題があるため、後施工となっています。
厳密に言うと、モルタル仕上げの部分は打ち放し部分よりきれいになりすぎてしまうと思いますが、玄関からの続くラインが揃っているので気にならない範囲と予測しています。
まだ水分を含み黒ずんで見えるので、完成した時にどうなるか不安もありますが楽しみです。


ダイニングテーブル

NDA20 2015/03/04 ダイニングテーブル

ダイニングテーブルを施工中。ガスコンロを設置して作業台も兼ねるので、サイズは1800mm×1600mm。
敷地面積15坪の狭小住宅には似つかわしくない大きさですが、LDKは思いのほか広く感じるのでこのサイズでも何とかバランスが取れています。
フォトグラファーのご主人が料理の撮影にも使えるようにデザインしましたので、この広いテーブルに料理を並べれば、撮影の邪魔になるものを極力外して撮ることができると思います。
天板はタモ集成材を選んでいるのですが、この大きさでは流通していないのと現場への搬入を考慮して、2枚の板を現場で圧着してつくります。
職人さんの作業を眺めていると、ジョイント部分の僅かな段差を素手で撫でながらサンディングをしていて、見た目にもどんどん段差が薄くなっていく。
最終的には間近で見ても手で触ってみても違和感無く、元々1枚だったかのように感じてきます。
そしてふと気がついたのですが、集成材は細長い木材を集めたものなので木目がバラバラとなりますが、現場でのジョイント部分も同じ継ぎ目の方向に合わせてありました。
特にこちらから継ぎ目方向の指定はしませんでしたが、職人さんが気を配ってこの様にしてくれたのだと思います。
設計図には書いていない部分でも、その在り方を考えて意図を汲んでくれるのは設計者として本当にありがたいです。


日没

NDA21 2015/03/14 日没

夕方に現場の進捗を確認しに行ったところ、ルーフバルコニーから日没の様子を見ることができました。
2015/4/4(Sat) - 2015/4/5(Sun)にオープンハウスを予定しておりますので、参加をご希望の方はEmailにてお申し込みください。


完了検査

NDA22 2015/03/24 完了検査

検査機関による完了検査を受けました。各法令への適合を現場で確認し、問題が無ければ数日で完了検査合格証が発行されます。
アトリエの床仕上げも何とか間に合わせることができましたので、指摘事項無しで無事に終了しました。
1階アトリエはコンクリート打ち放しを軸に無機質な仕上げとし、上階は住居となるため木を主体としたやわらかい雰囲気を狙っています。
実際の温度差も含めて、上下階で異なる空気感が漂って良い感じです。


施主検査

NDA23 2015/03/27 施主検査

建て主さんに建物の仕上がりを確認していただく施主検査を行いました。施工中の段階で何度か現場打合せを行っていたので、確認事項も少なく短時間で完了しました。
この建物では家具の組立てと取り付けを建て主さん自身で行うものが多いので、引渡し前ですが工務店さんの計らいで先行して搬入しました。
手直し工事と電気式蓄熱暖房機の設置を終えればいよいよ竣工です。


オープンハウス

NDA24 2015/04/05 オープンハウス

東京都世田谷区で設計させていただいた狭小住宅[NDA]のオープンハウスを開催し、2日間で24名の方にご見学いただきました。
ソファなどの家具が入った状態だったので普段よりもスケール感をイメージしやすく、今後の家づくりの参考になったかと思います。
オープンハウスへのご厚意を含めて、住宅設計に対して深くご理解いただいたことに感謝します。


NDA

所在地:東京都世田谷区
主要用途:住宅
構造:木造在来工法 [準耐火構造]
階数:地上3階
敷地面積:52.79㎡ [15.96坪]
建築面積:28.33㎡ [8.57坪]
延床面積:83.52㎡ [25.26坪]

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敷地条件:第2種住居地域・第3種高度地区・準防火地域
敷地タイプ:西.東側道路
宅タイプ:狭小住宅・スキップフロアー
設計監理:sside architects [千倉 徳誠]